でも実際、絶望の淵にいたお母さんを救ってくれたのは柚羽ちゃん。
今なら分かる気がする。
お母さんが、かんなさんを拒絶し続ける理由。
どんなに頭を下げられても、お母さんはかんなさんを拒み続けるんだ。
話し終えたあと、あたしとお父さんの間には沈黙が漂う。
あたしは無言のままアルバムをめくり始め、一番最後に書かれていた卒業生名簿の中に柚羽ちゃんの名前を探す。
「柚ー! 慎ちゃんー! ご飯できたよー!」
柚羽ちゃんの名前を見つけたとき、キッチンからお母さんの声が聞こえてくる。
「行こうか、柚」
「あっ。あたし、もう少しアルバム見てから行ってもいい?」
「……早く来るんだぞ」


