―Destiny―



「――お母さんと仲の良かった子……留美ちゃんっていうんだけど、留美ちゃんの自殺の真相は分からずじまいだったんだ」


「……分からない? いじめとかじゃないの?」


「いや。留美ちゃんの高校に、お父さんの友達も何人かいたんだけど……。みんながみんな、いじめはなかったって言うんだ。どうして死んだんだろう? って、頭を抱えていたよ」



高校に入学してすぐに自らの命を絶った、お母さんのもう一人の親友。

お父さんが言うには、お母さんは頻繁に留美ちゃんと会っていたけれど、変わった様子は見られなかったらしい。


なんでも相談し合っていた、心許せる友達。

そんな彼女がお母さんの目の前で自殺を図ったのは、高校一年の梅雨時だった。



「その日は珍しく天気がよくて、二人で映画を観に行く予定だったらしいんだ。映画館に向かう駅のホームで、留美ちゃんはお母さんの目の前で電車に飛び込んだんだ」