「分かった」
頷いたあと、車に乗り込もうとする先生を引き止めて、あたしは気になっていたことを切り出した。
それは、今日連れて行ってもらった、あの場所でのこと。
永輝さんが命を落とした峠で、先生が穏やかに微笑みながら見た一点。
「先生、あのとき何を見たの?」
「……柚羽さんと永輝さんだよ」
人が聞けば、非現実的な話だと思う。
でも、先生が二人を見たように、あたしにだって二人の声が聞こえたような気がしたんだ。
「柚羽ちゃんたち、どんな様子だった?」
「柚羽さんは心配そうな顔をしていたよ。……でも、永輝さんは静かに笑ってた。なにも心配するなって。大丈夫だって言っているみたいだったよ」


