「……大丈夫だよ」 言って、大将は奏汰の頭をポンポンと軽く叩いたあと、静かに笑う。 大将は多くを語らなかったけれど、永輝さんの事故現場をまっすぐに見つめるその瞳は……。 まるで、今はもういない永輝さんに語りかけているかのようにも見えた。 「なぁ、遼ちゃん。話はズレるけど、なんで俺たちをここに連れてきたんだ?」 そう訊いた奏汰の隣にいた、先生の視線が僅かに空に投げかけられる。 視線は一点をじっと見つめ、先生は微かに笑っているかのようにも見えた。