二十年という時を経てもなお、輝き続けるふたつの指輪。 この指輪を身につけたまま、寄り添うことができなかった二人……。 「この指輪をおまえたちに託すよ」 「託すって……。だってこれは、叔父さんの形見で……」 言葉に詰まりながらも反論する奏汰を見て、大将は優しく微笑んだ。 「きっと、永輝くんたちがおまえたちのことを見守ってくれるはずだから」 「…………」 「あと……、もうひとつある」 あたしたちに指輪を渡した大将は、ジャケットのポケットから黒い携帯電話を取り出した。