あたしの隣に座っていた奏汰が、静かな口調で大将に問う。 大将は無言で頷いたあと、車のドアを開け、外に出た。 先生もそれを追うかのように外に出て、あたしと奏汰も、流れに身を任せるようにして車から出る。 「今の柚ちゃんと奏汰は、あの頃の柚羽さんと永輝くんと同じだな」 車から降りてきたあたしたちを見て、大将は苦笑しながら言った。 「自分たちの気持ちに正直になるんだ」 そうは言うけれど、お母さんがあの状態じゃ……。 どんなに努力しても、限界ってものがあるんだ。