この場所で、柚羽ちゃんと永輝さんは幸せな時間を過ごして。 そして……――。 柚羽ちゃんは、この場所で死んだんだ。 「大将。永輝さんは、柚羽ちゃんをちゃんと好きだった?」 「……うん。すごく大切にしていたよ」 永輝さんを想い、そして、想われて。 だけど。 誰かを想う気持ちは純粋でありながらも、時には凶器になることだってあるんだ。 永輝さんを深く愛しすぎた、かんなさんのように……。 「それじゃ、次は……」 言って、大将が、上がっていたサイドブレーキに手をかける。