どれくらい待ったんだろう。 すぐに戻ってくるかと思っていた先生が、ようやく姿を現したのは数十分経った頃。 しかも、先生の後ろからついてきたのは……。 「――……大将?」 黒革のジャケットを羽織った、休みモードに入っている大将だった。 「村岡。車、乗り換えるぞ」 「えっ?」 助手席のドアを開けた先生が、あたしに外に出るように促す。 大将はこちらに来ることもなく、そのまま店の裏口とは反対方向の路地裏へと姿を消した。 「……先生?」 「奏汰くんももうすぐ出て来るから」 「………?」