「【来来軒】……?」 【来来軒】の入り口には『休業中』という札がかかっている。 今日は奏汰は大将の用事に付き合うって言ってた。 休みだから、店には誰もいないはず……。 「ちょっとここで待ってて」 先生はそう言うと、ひとり車を降りて【来来軒】の裏口の方に廻った。 少しずつ暖房が効き始める車のなか。 あたしは【来来軒】を眺めながら、再び謎に包まれる。 どうして、【来来軒】に? 先生は誰に用事があるんだろう。 奏汰? それとも大将? でも、店は休みだし……。