「……柚?」 立ち止まったまま歩き出そうとしないあたし。 先を歩いていた奏汰が立ち止まり、ゆっくりと振り返った。 「……奏汰……」 「大丈夫だよ」 先のことなんか分からない。 だけど、たった一つ分かること。 それは……。 過去から抜け出さない限り、あたしたちの関係は認めてもらえない。 「お母さんのこと、しばらくそっとしておいてあげよう」 奏汰は優しく声をかけながら、俯くあたしの頭をそっと撫でた。