「結崎の家を捨てるとか、そんなキレイごとじゃ済まないのよ!」 「じゃあ、どうすればいいの!?」 「……あなたたちが別れたら済むことよ」 そう言い終えたあと、お母さんはわっとその場に泣き崩れた。 奏汰は呆然とした顔で、お母さんを見ていた。 それはあたしも同じで。 お母さんを説得する気力さえも失ってしまったんだ。 ――ガチャ…… お母さんの泣き続ける声が響くなか。 あたしたちのすぐ後ろの、玄関のドアがゆっくりと開いた。 「――……どうしたんだ?」