「お母さん、あたし……」 奏汰と一緒にいたい。 そう言いかけたあたしを止めるように、奏汰が自分の左腕であたしの身体を押さえつけた。 「……昔の話、遼ちゃんから全部聞きました」 奏汰の低い声が、しんとした家に響く。 「お母さんが過去のことを許せないのなら、俺は結崎の家を捨てます。叔父さんにそっくりな俺の顔を見るのが嫌なら、顔だって変えます」 「……奏汰……」 「俺はそうしてでも、柚さんと一緒にいたいんです」