背中から聞こえる、奏汰の声。 その声は、はっきりと、そして堂々としていた。 「なに? なんの用?」 警戒心丸出しのお母さんに、奏汰は一歩進み、あたしの隣に立った。 「柚さんとのことを認めてもらいたくて、来ました」 「帰ってちょうだい」 お母さんは冷たく言い放つと、奏汰にくるりと背を向けて、その場を立ち去ろうとする。 「お母さん! あたしたちの話を聞いてよ!」 あたしが声を荒げて呼び止めると、お母さんは背を向けたまま、ピタリとその場に立ち止まった。