あたしを抱きしめていた奏汰の腕が、静かにゆっくりと離れる。 そして、奏汰はあたしを真っ直ぐに見て言った。 「もしも、俺たちのことを認めてもらえないのなら……」 決意に満ちた、奏汰の顔。 あたしは覚悟するかのように、唇をキュッとかみ締める。 「俺は、結崎の家を捨てる――」 奏汰は、はっきりと言い切ったあと、またあたしを抱きしめた。