あたしの肩に顔をうずめ、奏汰がボソボソと話し始める。 店の前を行き交う人たちが、驚いたようにあたしたちを見ていたけれど……。 今のあたしには、そんなこと気にもならなかったんだ。 「柚が好きなんだよ。柚の家庭を壊したくないって言ったくせに……」 「うん……」 涙がどんどんあふれてきて止まらなかった。 奏汰が好き。一緒にいたい。 たったそれだけの、純粋な想い。 それは……奏汰も同じだったんだね。 「――柚」