* * * 「……奏汰と別れたから」 沈んだ表情で柚が私に言ってきたのは、私が「奏汰くんともう会わないで」と言った日から、一ヶ月ほど経ってからだった。 「――……そう」 私は非情な母親だ。 娘の幸せを壊したくせに、どこかでホッとしている。 もうこれで二度と、奏汰くんに会うこともない。 結崎さんにソックリな奏汰くん。 彼を見るたびに、私は昔のことを思い出す。 そして、かんなさんに対する憎悪がふくらんでいく――。