――知っていた。
指輪に刻まれたその名前。
それは、叔父さんが、生涯愛しぬいた人の名前だったことを。
コンビニの制服を着た叔父さんが、バイト先の仲間と一緒に写っていた一枚の写真。
『これと同じ写真が家にもある』
俺の家に初めて来た柚が、その写真を見てそう言ったとき。
俺を見て動揺していた柚の両親が、過去に叔父さんと関わりがあったことを知った。
――嫌な予感がした。
昔のことが、今また繰り返されるんじゃないか。
写真を見た柚が、どこまで知っているのかは分からない。
けれど、俺は柚に言ったんだ。
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