「――だけど、お母さん」 話を聞き終えて、あたしは、涙を浮かべているお母さんに問う。 「どうして、あたしが奏汰と会ったらいけないの?」 「それは……。あの人と繋がりがあるからよ」 「あの人?」 「かんなさんよ」 永輝さんと柚羽ちゃんを引き裂いた、大将の奥さん――。 「私の娘が、かんなさんと関わることが耐え切れないのよ」 お母さんの、堪えきれなくなった涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。