「もしかして、永輝さん……?」 「どうして知って……」 「奏汰の家で、永輝さんの遺影を見たの。指輪もあったよ。『ユワ』って刻まれてた」 「指輪……? 柚羽の名前が……?」 「――うん」 あたしの話を聞いたお母さんの瞳から、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。 そして、お母さんは涙を手で拭うと、何度も深い呼吸をする。 ――そして……。 一呼吸おいてから、お母さんは『昔のこと』を話し始めたんだ。