―Destiny―



「……本当に、そっくりだわ。奏汰くんと結崎さん」



お母さんの目に、じわりと浮かぶ涙――。

その涙を溜めた瞳が、大将の車の後部座席へと移った。



「あちらは……?」



後部座席に座っていた大将の奥さんは、視線を避けるかのようにうつむいていた。


その様子に、あたしは何かを感じ取った。

まるで、お母さんを見ようとしないようにしているみたい……。



「家内です」


「……奥さん?」


「それじゃ。これで失礼します」



大将は奥さんを紹介することもなく、頭を下げると車に乗り込んだ。