私服を着た大将が、あたしを見て静かに微笑んだ。 あ……。 大将のこの笑い方。 奏汰の家で見た、遺影の中の永輝さんに似ている。 やっぱり永輝さんの従弟なんだ、と、あたしは改めて思った。 「奏汰と会っていたのか?」 「はい。今から、帰るところです」 話すあたしたちを交互に見ていた助手席の女の人が口を開いた。 「送ってあげたら? 遼太郎くん」 「えっ……」 困惑したような声を先に上げたのは大将だった。