奏汰と別れて、家に帰る途中。 背後から、誰かに合図するような車のクラクションの音が聞こえた。 反射的に振り返ると、あたしのそばまで、一台の車が速度を落として近づいてきた。 ゆっくりと開く助手席の窓。 見ると、助手席には見たこともない女の人が、にこりとあたしを見て笑っていた。 「……あの?」 きょとんとしていると、運転席に座っていた人が身を乗り出して顔を見せる。 「柚ちゃん?」 「あっ……、大将!!」