初めて奏汰とキスした日。 その日を境に、あたしたちは会うたびに唇を重ねる。 それ以上のことを、奏汰は決してしなかった。 「おまえはまだ高校生だからな」 奏汰はあたしを抱かないかわりに、いつも抱きしめてくれた。 奏汰がいつもそばにいて、あたしを抱きしめてくれる。 真菜が期待するような体の関係がなくとも、あたしは十分に幸せだ。 「柚って、あんまり俺のこと誘ってくれないんだな」 奏汰がそんなことを言ってきたのは、夏休み最後の日だった。