奏汰はあたしの右肩に顎を乗せると、低い声で呟くようにして言った。 「……ずっと、一緒にいような」 「――うん」 頷いたあと、ゆっくりと振り返る。 目の前にあった奏汰の顔が次第に近づいてきて、あたしは静かに瞳を閉じた。 初めてのキス。 このうえない幸せを感じる。 極上の幸せに包まれているあたしたちは……。 この時はなにも、知らなかったんだ。 永輝さんと柚羽ちゃんの過去が結びついていたこと。 そのことが、この先あたしたちに深く関わってくることなんて――。