世の中は狭いんだな……。
永輝さんと一緒にバイトしていたお父さんとお母さん。
その娘であるあたしが、永輝さんの甥にあたる奏汰と出会うなんて。
でも、お父さんたちはきっと気づいているかも。
奏汰が永輝さんと関わりのある人物だってこと。
名字も同じで、永輝さんにソックリだから。
それでも――。
あたしは今日、奏汰の家で、お父さんたちの写真を見つけたことを言うつもりはない。
お父さんたちが悲しそうな顔をすることが目に見えているから。
「柚」
ベッドに座っていた奏汰が、後ろからあたしの身体に手を回し、キュッと抱きしめる。
それに応えるように、あたしをすっぽりと包み込む奏汰の腕を握りしめた。


