にこやかだった奏汰の顔に不安の色が広がってきている……。 「お父さん? どうしたの?」 「あっ、あぁ、いや。はじめまして、奏汰くん。柚の父です」 「……はじめまして」 ――なに……、この空気。 変だよ、お父さんもお母さんも。 奏汰を見て、どうしてそんなに驚いているの? 「奏汰くん、どうぞ上がって?」 口を開こうとしないお母さんの代わりに、お父さんが来客用のスリッパを出し、奏汰に上がるよう勧めた。