お母さんは驚いた表情……と、言うよりも、微動だにせず、ただ固まっていた。 「柚さんとお付き合いさせて頂いている、結崎奏汰といいます」 「……ゆい……ざき……?」 「――お母さん?」 確かめるように奏汰の名前を口にするお母さん。 違う……。 あたしの彼氏が突然来たことに驚いているんじゃない。 奏汰自身を見て、お母さんは驚いている。 「……どうした?」 沈黙が続くなか、お風呂あがりのお父さんが髪の毛を拭きながら玄関にやって来た。