1945年8月。
「千夏!あんたまた何やっとんの。霊と遊ぶなんてええ加減にしぃや」
渡り廊下に座っている千夏に向かって、母ヨシは大きな声で叱った。
また千夏が交霊している。
戦争で死んだ兵士や国民が、自分が死んだともわからずにこの世をうろつき、視える千夏に声をかけるのだ。
千夏以外の人間に話しかけても誰も反応することはない。
霊感のない者は霊の存在に気づかないのだから。
「遊んでなんかおらん。成仏させてんねや」
千夏はヨシを見て、頬を大きく膨らませた。
戦争真っ只中の日本。
この第二次世界大戦で何人もの人が犠牲になっている。
ヨシの旦那、千夏の父でもある忠男もまた、天皇の命により戦争へと借り出された。
霊は死んだことを悟ると、千夏を一緒に連れて行こうとする。
霊は霊を視ることができない。
複数の霊が同時に成仏したとしても三途の川に行くまで1人ぼっちなのだ。
寂しさを紛らわす為、千夏を誘う。
一緒に行かないか……と。
ヨシにとってそれが一番怖かった。
この世に未練が強い霊ほど強引に千夏を引っ張るのだ。
千夏同様視えるヨシは、千夏の魂が何度も動いているとこを視ている。
いつ千夏を持っていかれるかと思うと、気が気でなくなってしまう。
だからヨシは叱るのだ。
霊と遊ぶなと。
「千夏!あんたまた何やっとんの。霊と遊ぶなんてええ加減にしぃや」
渡り廊下に座っている千夏に向かって、母ヨシは大きな声で叱った。
また千夏が交霊している。
戦争で死んだ兵士や国民が、自分が死んだともわからずにこの世をうろつき、視える千夏に声をかけるのだ。
千夏以外の人間に話しかけても誰も反応することはない。
霊感のない者は霊の存在に気づかないのだから。
「遊んでなんかおらん。成仏させてんねや」
千夏はヨシを見て、頬を大きく膨らませた。
戦争真っ只中の日本。
この第二次世界大戦で何人もの人が犠牲になっている。
ヨシの旦那、千夏の父でもある忠男もまた、天皇の命により戦争へと借り出された。
霊は死んだことを悟ると、千夏を一緒に連れて行こうとする。
霊は霊を視ることができない。
複数の霊が同時に成仏したとしても三途の川に行くまで1人ぼっちなのだ。
寂しさを紛らわす為、千夏を誘う。
一緒に行かないか……と。
ヨシにとってそれが一番怖かった。
この世に未練が強い霊ほど強引に千夏を引っ張るのだ。
千夏同様視えるヨシは、千夏の魂が何度も動いているとこを視ている。
いつ千夏を持っていかれるかと思うと、気が気でなくなってしまう。
だからヨシは叱るのだ。
霊と遊ぶなと。