「どうかしたか?」 足を止めずに涼が訊く。 「ううん……別に」 「分かった、見惚れてたんだろ?」 ……えっ? 「俺って横顔もカッコイイから?」 さっきまで私の心の中は、重い鉛でも入れたかの様に沈んだ気持ちだった。 なのに……。 今の涼のセリフで、ちょっと気持ちが軽くなった気がした。 ったく、もう。