若い男だけでなく他の男達も一緒になって嬉しそうな表情になる。

ルシェは青ざめた悲しい表情。

セリルはもうすぐ死ぬと言うのにひどく穏やかな表情。

髭の男がルシェを放すと、ルシェは真先にセリルの元へ向かい彼の頬を叩いた。


「バカ。簡単に死ぬなんて言わないでよ! あたしなんかの為にさ」

「ルシェさんが俺と立場逆転していたら、ルシェさんもこうしていたでしょ?」

「それは……そうだけど、でもやっぱり……!」


セリルとルシェの会話を黙って男達が見ていたのは、

最後くらい会話をさせてやろうと言う歪んだ優しさなのだろうか。


「この先を真っ直ぐ行けば、怪我はしているけれど兄さんがいるから。
怪我の手当てをしてあげて? 無事を知らせてあげなよ」

「嫌っ! セリル君が死ぬなんて嫌……セイルだって望んでいないよ」

「良いから行って! 俺は平気だから。
兄さんには貴女が必要だと思うし。……お幸せにね」