説得力があったのかは定かではないが、セイルはやや複雑な表情をする。

セリルはその表情をされるとは思ってもいなかったのか、

彼が安心するような言葉を投げ掛ける。


「大丈夫だよ。あいつらだってすぐに来るような奴じゃないと思う。兄さんだって知っているでしょ?」

「そう……だね……」

「ルシェさんが何処まで行くか次第だけど、森の出入り口付近ならすぐ戻ってくるよ」


しかしその言葉は数時間後には打ち砕かれた。

何時まで経ってもルシェは戻ってこなかったのだ。

夕日がそろそろ沈むであろう時間。セイルはセリルにこう告げた。


「今から探しに行く。1時間しても戻らなかったら、セリルだけでも逃げて」


それは、もしかしたらイレイスにルシェが捕まっている可能性がある事。