深く関わりを持てば持つ程、別れも辛くなる。

セイルの言葉が何処か迷いがあるように感じたセリルは、更に力強く言う。


「絶対だからね!? 俺だって兄さんには幸せになってほしいよ? でも……」

「ああ、守るよ。心配するな。それから……僕もお前が幸せになってほしい」


優しく笑うセイル。つられて先程までの真剣な表情が一変し、セリルも笑う。

ややピリピリしたムードは打ち消され、兄弟での団らんが始まった。

2人は誰かと深い関わりを持たないと改めて誓い合う。


しかし、その誓いから更に3ヶ月が経過した日の事。


「本当に、本当よ!? 幸せにしてね?」

「……ああ、きっと」


セイルはその誓いを破ろうとしていた。

分かっていた。今ルシェに対して自分の言った事は嘘になる事を。

それでも言ったのは、こちらの方が傷つき難い嘘だと思ったからだ。



2.crime end.