「酔った勢いってやつ?」

「酔った勢いね。」


高瀬が鼻で笑った。


「で?今までそれで何人と寝たんだよ。」



思わず高瀬の顔を叩いてた・・・。


右手がジンと痛む。



「あんたこそ、結婚したいほどの彼女がいるのにどうよ?」


「男は心と体は別さ。」



もう一度手を振り上げようとしたが、

高瀬に手首を掴まれてしまった。



高瀬の手・・・



あの日以来初めて見た。



あの時の傷・・・

残ってた。



「ごめんね。」


どうしちゃったんだろう・・・


思わず高瀬の手の傷に触れて・・・


ハッとした。

何やってるの私。

これは二日酔いのせい?



お互い同時に手を離してた。


あわてる私に

「帰る。ゆっくり休めよ。」


高瀬は笑って出て行った。


何よ!


頭も心もズキズキした。



あ――――なんてことだろう。



私は、あの頃よりずっと賢く、ずっと強く、ずっと大人に・・・

なったはずじゃなかったの・・・?