それから二人とも黙って黙々と料理を食べた。


全然美味しくない。


気まずい雰囲気。



私の頭の中は・・・


高瀬の結婚のことでいっぱい。



会社中の女性社員の顔が次々と出てくる・・・



誰なんだろう?





「今辞めたら退職金っていくら出る?」


と、高瀬が急に口を開いた。


はあ?



「さあ?辞めること考えたことないし・・・。」


「ふ~ん。」




「それよりどうするわけ?プロポーズ。」


カチャッと高瀬が音を立ててフォークを置いた。


「分らない。けど、一つ言えることは・・・

俺は、二度と同じ轍は踏まないってことかな。」


二度とって?



高瀬が席を立った。

「?」

「帰る。」

「えっ?だってまだデザートが・・・。」

あわてて私も席を立つ。



こんなところで一人置いて行かれたら、男に振られた女みたいじゃないの。


テーブルを離れるとき・・・


高瀬の席に忘れ物見つけた。