娘が足を滑らせた。きっと雨のせいで白線の床材部分が濡れていたに違いない。 あぁ~なんてことなの……。 娘の体が大きく傾き、プラットホームから落ちそうになる。 スローモーションのようにゆっくりとした動きに見えたのに、私は娘に追いつくことができない。 腕を精一杯伸ばした。が、娘に触れるにはあまりにも距離が足らなかった。