「きっとあなたの教え方がうまいのよ」 「そうかな」 夫は恥ずかしそうにしながら部屋のドアを閉めた。 髪を乱すように一心不乱にピアノを弾いていたアリスの手がとまった。 「お父さんは?」 「トイレかも」 「戻ってくる?」 「どうかな」 「ケータイまた忘れてるよ」 アリスはピアノの上にのっているケータイを指さした。 仕事の電話が引っ切り無しにかかってくるから夫にとって手放せない必需品。