鏡を見ながらいつも私はミキに誓う。 “私もミキのために自己犠牲を払うよ” 鏡の部屋を出るとちょうど夫が娘の部屋のドアを開けて出てこようとするところだった。 ドアにかけられている板には“アリス”のカタカナの文字。 私の言うことをなんでも受け入れてくれた夫だけど、娘のアリスという名前だけは頑として譲らなかった。 夫が小さい頃、眠れない夜に『鏡の国のアリス』を母親が子守唄代わりに読んでくれたらしい。 「ピアノ、かなり上達してきたよ」 夫はピアノを弾いているアリスを自慢げに見詰める。