「おまっ…未遂とか
そーゆー問題じゃねぇだろっ」

「だって実際何も起こらなかったわけだし…」

「…っ、いーから乗れっ!」



一琉は無理矢理私を後ろに乗せて、自分も自転車に跨った。



「…これなら、見なくてすむだろ
それに走ってる間は降りれないから、誰かに迷惑かけることもない」



確かに…

顔や唇は見えない。

ちゃんと、そこまで考えてくれてたんだ。



「うん…」



だけど、恥ずかしいよ

こんな……



「おし、行くぞーっ!」



こんな、ヒョウ柄だらけの男の人と帰るの。

だってよく見たら
自転車の塗装も、鞄の柄も、全部ヒョウ柄…

どこか1ヶ所だけなら、オシャレなんだろうけど…


私は一琉の腰に腕を回すと、誰にも顔を見られないように背中に顔を沈めた。