エリリンが先に教室に戻ったあとも、俺は無人の階段でたたぼーっとしていた。

俺以外、無人のはずの場所で



「ねー」

「……………」



壁に向かって話かけても、返事はナシ。



「結葉、いつから聞いてた?」

「え!いや、えっと
ついさっき…うっかり…」



名前を呼ぶと、アッサリ顔を出す

俺の、ストーカーさん



「まぁ、いーや
それより君はさぁ、好きな人のこと、思ってるだけで幸せ?」

「うっ、うん!もちろん!!」

「例えば、その好きな人に恋人がいたとしても?」



もし、俺と同じ状況になった時

この子は、なんて答えるんだろう



「あたしはっ
その人を好きになれてるだけで幸せなのっ、同じ空間にいられるだけで、同じ空気を吸えてるだけで
すごくすっごく幸せなの!」



そんなふうに、思えるんだ



「ってごめん!気持ち悪いよね」

「そんなことないよ」



全然、そんなことない



「もし、自分のことをそんなふうに思ってくれる人がいたら、すごく嬉しいよ」



俺もなれるかな、この子みたいに