「な……夏月」



呼び止められた。



いつの間にか、下を向いてた顔をあげる。



「あ、れ……?」




そこには、幼なじみがいた。



偽ではなく。


本物の。




ただ。



「あ……あんた、髪染めたの?」



それだけじゃない、コンタクトにもなってるし、髪には不器用だがワックスもついていた。



「う、うん。なんか夏月の周り、すごい人が多いから……」



「は、はは……」



こいつは、昨日どこかで私とイケメン集団を見たんだ。



それで、負けじと髪を染めたわけか。
でも、勇気がなかったのか、茶色だし。



「はははは………!あんた、最高!ウケるっ!」




私は、大きく笑いだす。







だって、





とびっきりにメチャクチャで


バカバカしいほど乱雑で


終始ドタバタな話の最後が、







こんなにも普通なんて。







笑うしか、ないじゃない。














ひとしきり笑った私は、小さく微笑んで幼なじみの肩を叩いた。



「さて……その勇気に免じて、久しぶりに一緒に学校行こっか」







物語の終わり。



太陽は、ただ透き通るように輝いた。










『先生、執事、不良、幼なじみ、俺様……えーと、後なんだっけ。』終了。