「ナツキと会ったあの日……俺は同僚と飲んでたんだ」 ぽつりぽつりと俺は話し始める。 独り言みたいに、ぼんやりしていたら聞き逃しそうな静かさで。 「あの日好きだった人にフラれてさ。気をきかせた同僚が誘ってくれたんだ」 ナツキは静かだったけど、眠ってはいないようだ。 黙って聞いている。 「こないだ映画館で会った二人がその同僚と好きだった人。笑っちゃうよな、二人は良い仲だったんだ」 ナツキは俺の胸に顔を埋めたまま。 きゅっと俺のシャツを握る。