ナツキのコロッケはとても旨かった。 美味しい、と言うとナツキは得意げに笑って見せた。 「料理はいつ覚えたの?」 「ずっと前からよ。母親が居なかったから」 ナツキの両親の話は以前にも聞いたけど、聞く度に違っていた。 今度の話は本当だろうか? 俺の心を読んだのか、フッと笑うナツキ。 「これは本当よ。亡くなったの」 余計なことを聞いてしまったかと、口をつぐむ。 だけど当のナツキはけろりとしている。