少し悩んだけど、俺は続けて聞く。 「どんな恋だったの?」 ナツキは首を振るばかりで答えなかった。 どうやらナツキの心には何か引っ掛かりがあるらしい。 もしかしてナツキはその過去から逃げて来たのだろうか。 「話す気になれない?」 俺はナツキに言った。 出来る限りの優しい言い方で。 ナツキはぽつりと言う。 「……婚約者、あたしのせいで死なせちゃったの」