ナツキの唇はほのかに温かくて、綿毛のようにふわりと柔らかい。 次第に口づけが深くなり、舌が絡み始めるとナツキの息も荒くなる。 激しさを増すキスの間も、俺の頭は冷静だった。 ナツキの過去のことや、居場所を定めないことが気になる。 ナツキには婚約者が居たと言っていた。 もう居ない、とも。 それはどういう意味なのだろう。 ただ、別れたということなのだろうか。 キスの途中、少し苦しそうに息を吸うナツキ。 なぜだか急に愛しさのようなものが込み上げて、俺はナツキを抱きしめた。