ゴクゴクと喉を鳴らしてコーラを飲むナツキに、俺はぽつりと問い掛ける。


「ここに来る前はどこに居たの?」


ナツキはちらりと俺を見ると、すぐにまた窓の外に視線を移した。


「隣町よ」

「なぜこの町に?」


ナツキはあからさまに嫌な顔をした。
かったるいなぁ、そんな感じだった。


「逃げて来たの」

「え?」


まさか本当に夜逃げ?
まずい人に関わったのか、俺は?

するとナツキはクスリと笑った。


「嘘。なんとなく」


ナツキの声は少し寂しそうに響いた。

聞かれたくないことだったのだろうか。

触れてはいけない部分なのか。