冷静に考えれば分かること。 男に笑いかけることくらい、彼女にとっては何の意味もないことなのだ。 沈む心に容赦なくのしかかる沢山の仕事。 片付けるしかない。 会社には俺の失恋なんて関係ないことなんだから。 力の入らない身体にムチ打って仕事をこなしていると、不意に背中を叩かれた。 「おい、その様子じゃあ、ダメだったのか」 話しかけてきたのは同僚の真島。体育会系のゴツイ身体に似合わず可愛い目をしている。 「ご名答」 「やっぱりなぁ。浅野はレベルが高すぎるよ」