女は満足したようににんまりと笑った。 「決まりね。明日からあたしはあなたの恋人よ」 「あぁ」 俺は楽しそうに笑う女を見ながら、不思議な気持ちだった。 浅野さんに告白した時は、恋なんて上手くいかないものだとへこんでいたのに。 その日の夜にはこうもあっさりと恋人ができるなんて。 恋人って呼んで良いものか、正直迷うけれど。 俺は目の前でニコニコと笑う綺麗な人に、ゆっくりと口を開く。 「君の名前を教えて」 女はあぁ、と言ってから答える。 「ナツキよ」