誠は泣いた。
滂沱だった。
テーブルの向こうには、
先程まで人だったモノが、
ただの肉の塊となって、
上半身が飛び散っても、それでもなお、座っていた。
勝ったのだ。
よくある、勝ち方だ。
相手のパスの後に、パスをし続けるだけ。
本当に勝ったのか、実感はない。
何故、勝てたのかもわからない。
相手のミスか、
自分の幸運か、
ゲームの流れをまるで、覚えていない。
服が、汗で重い。
気づけば、全身ずぶ濡れになっていた。
この不快感も、虚脱感も、倦怠感も、唇の痛みすらも、
全て生きている証。
誠は、なんとなく、
本当になんとなく、
こんなときに煙草が欲しくなるのかと、
納得した。
ーーーーーーーー備前 治・死亡
死因『実力不足』