下駄箱のところにまで行くと、菅原が待っていた。



「お疲れ様」

「ホントに退屈な時間でした」



俺はその場にいただけだったからな。



でも最初あの教室に着いたとき、あの男は柏葉凛の腕を掴もうとしていた。

朝見た光景のように。



俺がいたのがムダかと言われれば別にムダではなかったのかもしれない。

始終彼女は取り乱さずに話せていたし、男の方もちゃんと話を聞いていたようだ。



そんなことよりも、今俺の頭の中を占領するのは、菅原に近づいていたあの男だった。



「どうしたの?なにか心配事でもあるのかしら?」

「あ?いや、別に……帰ろう」



その後いつものように菅原を家まで送り届けてから帰った。