「麻里亜さん」

「内気な人には選択肢を与えてあげると答えやすいですよ、Q様」



そんなアドバイスまでするようになった、最近の阿部麻里亜からは、もう出会ったころの鬱々しさはすっかりと消えていた。



「そうなのね。頭に入れておくわ。ありがとう」



最近俺たちは仲がいい。

阿部麻里亜へのイジメもピタリと止んだし、ちょっぴり平和な気持ちだ。



「えと……さっきのは彼氏なんです。でも、浮気してて、それも一度や二度どころじゃなくて、もう……耐えられなくて」



それは微妙な問題だ。

男女の問題でもあり、人間性の問題でもある気がする。



「あなたは本気で別れたいの?」

「はい、もう振り回されるのは嫌……」



彼女の目には涙が浮かんできていた。